試験当日までの道のりは長いです。
働きながら受験される方は特に、相当な覚悟が必要です。
仕事や生活とのバランス調整、勉強時間の確保やモチベーションの維持など、苦労は多いことと思います。
計画的に学習が進められるように、実際に僕がどのようなスケジュールで合格まで辿り着いたかお話ししたいと思います。
完全に同じ境遇の人はいないと思いますが、
- 日本語を教えた経験なし
- 養成講座に通わない
- 参考書だけで、独学で受かりたい
- フルタイム勤務
- 30代後半
少しでも当てはまる方は参考になるかも知れません。ですが、これが絶対というゴリ押しはしません。勉強を進めながら、自分の学習スタイルを確立していってください。
試験当日までの全体スケジュール
僕は2020年3月24日にこの検定試験の存在を知り、挑戦することを決めました。
「絶対一発合格する。見つけた。」と昔のノートに書いてありました。
ちなみに、勝てない勝負はしない派なので、ネットで同じ境遇で合格している人を何人か見つけた上で、試験にトライすることを決めています。また、これまでも働きながらいくつかの資格試験を独学で合格しているため、感覚的に手の届く範囲であることはわかりました。
僕が考える独学勉強法で共通して言える鉄則は次のような感じです。
- 間違いない参考書を選ぶ
- 計画的な過去問の活用
①は、その参考書を使って合格している人は実際にいるか。その参考書と自分の相性は良いかということです。これは、自信を持って勉強し続けるためには必要なことです。数ある参考書の中で、間違ったものを選んでしまうと、出費と時間がムダになってしまいます。
おそらく本屋さんで参考書を買うことは最近はなかなかないでしょうから、合格している人が実際に使っている参考書をネットで買うのが主流だと思います。
ただ、参考書との相性もモチベーション維持には割と重要で、いくらその書を使って合格している人がいるとはいえ、活字の量だとか、色味だとか、体裁だとか、一度自分に合わないと感じたらその参考書を使わないという選択肢もアリでしょう。(受け入れる努力はしてみて)
②は、過去問の使い方です。僕はH28年度から令和元年度までの4年分を購入して使いました。4回しか本番気分を味わえないので、大変貴重なわけです。過去問だけやって受かってしまう人もたまにいますが、知識0からの僕みたいな人間は、知識がある程度ついてからやるべきです。
ある程度勉強が進んできたら、試験日から逆算して過去問の実施日を設定していってください。
3月下旬〜4月
検定試験の内容に興味を持つ時期です。どんな世界が広がっているのか、どんなものが出題内容となっているのか、「へぇ〜、なるほど〜、初めて知った〜」、そんな感覚で良いのでざっくりでいいから気にしてみましょう。
僕が初めに手にしたのは、アルクの『合格するための基礎知識』です。

日本語教育能力検定試験は、いかんせん出題範囲が広い。その点この本は、その広い範囲をバランスよく書いてくれています。日本語教育の入り口としておすすめです。
日本人なのに、日本語なのに知らなかったこと(ほとんど)や、勉強法に名前がついていることとか、心理学的なことととか、戦時中の日本語の歴史や、カルチャーショックとか、試験内容は、本当に面白い内容だったので飽きずに勉強を続けられました。
次に、日本教育能力検定試験には欠かせない通称『赤本』、ヒューマンアカデミー著の『日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド』をなんとなくノートに書きながら読み進めました。聴解と記述以外を一通り読み終えることが目的です。

一周目は興味を持つくらいの感覚でOK。というのもこれから嫌というほどこの赤本にはお世話になるので…。(2021年3月現在、今は第5版が最新です!)
5月
文法強化の時期です。
スリーエーネットワークから出ている『考えて、解いて、学ぶ 日本語教育の文法』を使いました。これは適度なボリュームでやさしい参考書です。文法に特化した本は、これだけで大丈夫でした。学校文法と日本語文法の違いはしっかり把握しておいた方が良いです。

まだまだわからないことが多くてアレルギーを感じていたので『日本語教育のスタートライン』も読みました。読みものとして普通に面白いのでオススメです。これをまた知識が定着した10月頃に読むと”知っていることがほとんど”になっていて嬉しくなります。

6月〜7月
赤本2週目をやりました。今度は聴解(音声問題)にも着手。さらに落ち込むことになりますが、とにかく一度やりましょう。
そして、『合格するための本』と『問題集』に取り組みます。


2冊を区分ごとに、並行的に進めていきました。今後のことも考え、解答は鉛筆で書いて消すか、別のノートに書きましょう。
区分5→区分4→区分3→区分2→区分1(聴解は除く)
※記録では6/28に取り組み、7/12に完了させてます。
また、わからない用語はアルクの『合格するための用語集』や『赤本』で確認する作業をしていきました。これで割と記憶が定着していった気がします。

そして、聴解問題に本気で取り組みます。『合格するための本』と『問題集』の聴解問題で試験Ⅱの問題形式に慣れましょう。なんとなく苦手な問題と、覚えなくてはいけないことがわかると思います。
8月
試験日まで一日一用語を覚えたら、100近く覚えられると有意義だなと思ったので、スマホにいつでも見返せるよう、わからないor未だに曖昧な用語を入れていきました。最終的には158のメモになりました。


そしてここで初めて過去問にトライしました。トライする前に大まかな計画を立てました。3年前に出題傾向が似るという都市伝説を信じ、平成29年度の過去問を本番直前に設定しました。これが功を奏したかはわかりませんが。。。
1回目 | 2回目 | 3回目 | |
令和元年度 | 8/9 | 8/16 | |
平成30年度 | 8/28 | 9/5 | |
平成28年度 | 9/12 | 9/18 | |
平成29年度 | 10/4 | 10/10 | 10/18 |
一度やった問題は、解答を覚えてしまうタイプなので、過去問は基本的に2回まで。平成29年度だけ試験直前に3回目をやっています。
過去問では、まず試験の出題形式に慣れましょう。
そして、本番同様の時間感覚を身につけてください。過去問を解く時間帯もなるべく本番の時間同様にやった方がいいです。自分の体の調子とかもわかりますからね。

ちなみに、過去問でとてもお世話になった解説サイトはこちらです。
過去問の本には、驚くことに解説が全く載ってないんですよね。ここでは聴解問題もしっかり説明されているので本当に助かりました。感謝です。
また、8月末から試験Ⅲで出題される記述式に着手しました。
使用したのは『合格するための記述式問題』です。

これはマストバイです。
twitterを見ていると、記述を捨てていたのか、マーク式で点数とっていても不合格の人が結構いると思いました。ぼくはマーク式こそ148点というなかなかの合格最低ラインでしたが、受かりました。
なぜなら記述式に望みを託していたからです。
記述式の配点は20点です。「主張→根拠→主張」のような型にハメて、よほどトンチンカンな回答をしなければおそらく10点以上はもらうことができます。
といってもやったのは、この参考書で回答の型や一定のルールを学び、あとは40ある例題のうちの30くらいの解答例をほぼ毎日書き写していただけです。真面目に取り組まないで下さい。
考える時間がいくらあっても足りないので、解答例を写経して一回読み上げるくらいでいいと思います。
9月
過去問やっても点数が上がらなくてモチベーションが下がる時期です。
映画「ビリギャル」を観ましょう。有村架純ちゃんが金髪ギャルのやつです。もはやストーリーを想像できちゃうくらい当時話題だったので、なんとなく敬遠してた映画でしたが、自分が受験生ということもあり、ピンときて再生ボタン押したら最後大号泣でした(笑)。非常にやる気スイッチが入る映画なので、どこかのタイミングで観て欲しいです!
『スラムダンク』も必読!
また、この時期は試験Ⅱの聴解問題と向き合いました。
問題1、2、6の音声をスマホに入れ、仕事の昼休みに聴いてました。
こちらについては、別の記事で対策を紹介したいと思います。
10月
いよいよ試験日のある10月になりました。
この時期にとった行動は、twitterの自分が興味のある分野の人全員をミュートしました(笑)。とにかく脳内の記憶スペースを他のことで埋めないようにしたかったので。
まあそれはさておいて、
朝と昼と夜やるメニューを決めていました。
朝は、自作の口蓋断面図フラッシュカードをしたり、調音方法の表を瞬時で書いたり、学習者数や留学生の数や多い国などの統計データの数字や順位を覚えることに重点を置いて活動していました。
昼は、スマホに入れた聴解問題を聴いて耳を慣らしたり、スマホの単語メモを見たりしていました。少しでも試験問題に触れていようとしました。
夜は、記述式の写経、赤本や過去問の復習、今までやってきた参考書のローリング大作戦などをしていました。
ちなみに過去問で目標点を達成したことはありませんでした。
試験Ⅰ | 試験Ⅱ | 試験Ⅲ | 合計 | |
目標点 | 70 | 30 | 60 | 160 |
令和元年度 | 73 | 23 | 56 | 152 |
平成30年度 | 62 | 24 | 46 | 132 |
平成28年度 | 64 | 29 | 53 | 146 |
平成29年度 | 69 | 23 | 48 | 140 |
しかし、10月からの追い込みで急激にいろんなことがわかるようになり、グングン知識が身についていった気がします。演奏会やライブでもそうですが、本番に向けて能力は研ぎ澄まされていくので、早いうちからあまり心配せずに、継続的に学習していくことが試験に受かるポイントですね。
